9/2013

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by Neoplus Sixten Inc.

ALLEY

8年前に我々が設計監理をした住宅の建主が結婚し、セカンドステージの住宅を建てるため、東京スカイツリーに近い下町風情が残る小さな敷地を購入。細長い路地の奥にある狭小敷地のため、施工性を考慮して木造を選択。落ち着いた濃茶色のガルバリウム鋼板外壁が和の印象をつくり、古い街並みに違和感なく馴染んでいる。

道路側をガラス張りにすることで周辺環境を取り込んだ室内の景色が生まれ、夜には根太表しの天井やストリップ階段がライトアップされ、外観が光の塔として浮かび上がる。ファサード大開口に加え、ペントハウスに設けた高窓から差し込む光で室内は十分明るく、住宅密集エリアであることを感じさせない。

広い玄関土間の奥には客間としても使える多目的小空間を準備。縁に腰掛けることで土間と一体感を味わえる中間領域は古き良き日本の住空間を彷彿させる。2階LDKには椅子やソファの代わりに掘り炬燵式の座卓を設え、東京スカイツリーを眺めながら寛ぐという贅沢な仕掛け。御夫婦で協力しながら本格的な調理ができるコの字型のオープンキッチンも用意し、大勢のゲストをもてなすこともできる。キッチンと座卓エリアの間に段差を設けて小空間にリズムやアクセントを与え、間接照明が非日常的な印象をつくりあげる。忙しい日常を送るご夫婦にとって、肩肘を張らず自然体で振舞える「小宇宙」こそが、求めていた小住宅の姿なのである。

Photos: Masao Nishikawa

SLASH

山を背に、海を望める自然公園内に建ち、夕日を眺めながら寛ぐ週末住宅として計画した。交通量の多い街道沿いの敷地であるため道路から建物までの距離を十分確保し、開口部を極力控えたRC造のファサードにすることで騒音やプライバシーの問題を解決している。

また敷地東側には駐車場を複数台分用意し大勢の来客に対応できるようにした。建物へのアプローチは緩やかに下るスロープとし、あえて迂回させることで空間内部への期待感が生じる。海側は道路側よりも敷地レベルが低いため、ファサードに設けた水平連窓からアプローチの際に水平線が見え隠れする仕掛けとした。建物は平屋にして環境との調和を図り、南北に長くすることでエントランスから海の気配が消え、内部からのみ絶景が望めるよう配慮した。

玄関ドア先の内廊下を介し、各部屋へアプローチが可能。北西角にはマリンレジャーの疲れを癒す大浴場を完備。大理石で設えた浴槽に浸かりながらコーナー窓からは絶景が望める。筆舌に尽くしがたいサンセットを味わいながら、ウッドデッキで夕食を楽しむのも一興である。

海側の連窓を保護するために木製折戸を設け、台風や防犯に備えると同時に塩害対策にも一役買っている。床・天井、家具、台所に使用したチーク材と高強度コンクリート打放しの組み合わせがリゾート感を演出し、年齢を重ねるごとにその味わいは深くなる。

Photos: Masao Nishikawa

SMALL HOUSE SERIES - - - 小さいからこそできること

Vol.08 "SIGN"
Photos: Masao Nishikawa

間口の小さな木造3階建住宅の場合、妻側の耐震壁制限より駐車動線やエントランス動線を確保するのが難しい。そこで今回は道路面に設けたバルコニー腰壁兼用のエントランスゲートを耐力壁とすることでその問題を解決している。セミクローズドのゲートによって道路からエントランスまでの奥行きやリズムが生まれ、木製ルーバーによる建物独特のファサードが生まれ、街並みのなかで愛らしいシンボルになっている。

APOLLO一級建築士事務所 / APOLLO architects & associates
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