12/2013

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by Neoplus Sixten Inc.

CALM

閑静な住宅街の一角に建つ3階建ての住宅は、家族以外にも外国人の留学生やゲストが時折宿泊できるゲストハウスのような機能を併せ持つ建物として計画された。見付幅40ミリの杉板型枠コンクリート打放し仕上げの端正かつソリッドな外観に対し、シャープなステンレス製横型ルーバーで開口部を覆うことで防犯性やプライバシーを高め、街並みの美意識にも配慮している。

1階奥に設えた杉板打放し壁の中庭付きの和室は客間として利用ができ、道路側の空間と可能式建具を介して繋がる仕掛け。連間としても利用ができ、玄関脇に客用のバス・トイレも設えてあるため、大勢のゲストやパーティー、レクチャーなどにも対応可能だ。また玄関ホール奥には音楽スタジオとして利用可能な防音室が設けられ、中庭からの拡散光がフロストガラスを介して室内に程良く充満している。

2階には主寝室や子供室などのプ個室を設け、いずれの空間にも外に面した中庭を配置し、専用/共用の水廻りを複数箇所用意することで、家族やゲストのプライバシーを気にすることなく生活できるのもこの住宅の大きな特徴である。

家族専用の水廻りのある3階の大きなファミリールームは、ステンレスサッシをフルオープンすることで打放し壁で囲われた中庭と一体になり、外部階段を経由してルーフバルコニーへアクセスすることができる。周辺住宅からの目線を気にすることなく寛げる空間の至る所に李朝家具やアートピースが設えられ、大勢の人々がホテルのロビーやサロンのように寛げるのがこの家の最終形だ。ホストとゲストが融合し、仕掛けられた中間領域に穏やかな空気が流れるおおらかさこそが「日本的」であると言えるだろう。

Photos: Masao Nishikawa

FLEUVE

ヘアサロンオーナー兼スタイリストのご主人は、新居を構えるにあたりヘアサロン併用の住宅を希望された。このヘアサロンはゲストを最大2人に限定し、オーナー自らが全てのサービスを一人で行うという贅沢なコンセプトであることから、サロン自体の大きさを最小化することでコンシャスな雰囲気を生み出し、その分、自宅エリアを最大化することが求められた。サロン外観はガラス張りで非日常的な空気をつくりだしつつも、緑の前庭を借景として取り込み、低く深い庇を設けることで住宅のような日常的な落ち着きも共存させている。

自宅とサロンの中間位置に緩衝帯として休憩室を配し、シンボルツリーを中心にしたエントランスコートを設えることでオンオフの切り替えをスムースにできることを意識した。また、茶道を嗜む奥様のために坪庭のある和室を設え、「おもてなし」の雰囲気がサロンから住宅内部まで通底するように心掛けている。

一方、2階は階段エリアを境にファミリールームと子供室が振り分けられ、中間に設えたスタディスペースが2つの空間を切り結ぶ仕掛けだ。ヘアサロン上部をファミリールームから連続するルーフバルコニーとして使用することで、大人数でのパーティーも可能だ。窓部越しに眺める中庭のシンボルツリーはもちろん、前面道路の街路樹や道路対面にある公園の緑が奥行きのある一体感をつくりだし、存分に緑景を堪能することができる。

Photos: Masao Nishikawa

SMALL HOUSE SERIES - - - 小さいからこそできること

Vol.09 "PACHIRA"
Photos: Masao Nishikawa

三方が隣家に囲まれた間口の小さな狭小地に建つ外断熱コンクリートを使用した高性能住宅。建築面積を最大限確保しながら屋上利用もできるように3階建て+ペントハウスの構成としている。ファサードに大きな開口部を設けることで街並みに対するオープンな姿勢を示しながら、内部には、趣味の読書や音楽で思う存分寛いでもらえるようCDや蔵書が収納できる壁面収納や可能式畳を配置。コンパクトライフを送る都市住宅の好例である。

AWARD

PUBLICATION

「平成25年度第57回神奈川建築コンクール」が行われ、住宅部門にて「Le49」が優秀賞を受賞しました。

「新しい住宅デザインの教科書」改訂版/エクスナレッジ(黒崎敏著)が2013年12月5日に書籍として新たに出版されました。

APOLLO一級建築士事務所 / APOLLO architects & associates
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