03/2011

LIFT

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Photos: Masao Nishikawa

新たに購入した敷地は宮城県の仙台駅からほど近い住宅街の一角で、小さく分割された分譲地。30代のご夫婦が小さな息子さんと一緒に暮らすこの都市住宅は、限られたフロンテージで2台分の駐車場を確保すべく、木造でありながらピロティ柱などがなく、上階が大きく迫り出した形状が特徴的です。
住宅密集地であるがゆえ、防犯やプライバシーを考慮し、開口部を極力制限した閉鎖的な外観とは対照的に、各階を貫く中庭を家の中心に据えた室内には、明るく開放的な空間が広がります。寝室をはじめ、オーディオルームなど小さく心地良いプライベート空間を充実させた1階に対し、おおらかな一室空間とした上階には隅々まで光が溢れ、心地良い風が通り、視線が抜けます。ダイニングテーブルを兼ねた対面型キッチンと連続するように設えた縁なし畳敷きのリビングからは、中庭の紅葉が借景となり、落ち着いた雰囲気を醸し出し、そこが都市であることを忘れさせてくれるでしょう。
斜めにせり上がったファサードのルーバーは、光のリフレクションにより室内に十分な明るさをもたらし、内部からの視線を解放しながら、外部からの視線をシャットアウトする役割も担います。中庭を挟んで設えた子供室とは「母屋」と「離れ」の関係が生まれ、それぞれの空間から異なる空の景色を獲得することができるのも都市住宅の特権と言えるでしょう。
もはや都市住宅は東京の専売特許ではなく、あらゆる都市に共通するスマートな概念として定着しています。現代人にとって小さいからこそ生まれるライフスタイルは、必要以上に大きなものよりもむしろ心地良く感じているのではないでしょうか。

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