3/2012

Le 49

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Photos: Masao Nishikawa

敷地は相模湾の絶景を見下ろす鎌倉山。都心のタワーマンション暮らしの長いご夫婦は、絶景と緑溢れる敷地に一目惚れをし、移住を決意。英国赴任時に欧州中の建築を見て回るほど建築好きのご主人は、奥様のアトリエを併設した住宅を計画するにあたり、世界中から訪れるゲストが随所に日本の美を感じられるモダン建築をテーマにした。
コンクリートの基壇上に、純白の光触媒塗料を施した四角いボリュームがずれながら重なり合う姿はモダンでありながらオリエンタルな美が象徴的である。外壁面に沿って海を目指し、細長いスロープを下ると、三角形のピロティが現れる玄関アプローチにも敷地独特の物語が宿る。
内外を隔てた1階のアトリエのコートにはシマトネリコのシンボルツリーが植えられ、プライバシーを十分に配慮。アトリエの反対側にはガラス張りの水廻り付きの寝室を設け、非日常性を演出した。周辺の緑が借景として室内に取り込まれ、リラックスした雰囲気はさながらリゾートホテルのようだ。プライベート仕様の1階とは対照的に、2階はファミリールームの大空間が広がる。計算された開口部は周辺の森や海をパノラマビューとして切り取り、壁面には収納や水廻りが整然と造り付けられている。そして、この住宅の最大の特徴がスチール下地と木造梁で構成された5角形の大屋根である。大胆な構成でありながらも、繊細なディテールワークも美に一役買っている。スライディングドアをフルオープンすれば大自然と繋がることができる極上の生活が普遍的な日本の美が宿る建築をさらに美しいものへと昇華させている。

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