10年に1度の変化の年?変わるデザイン系オンラインメディア

2022年は海外のデザイン系オンラインメディアにとって激動の1年であったと言っていいだろう。まず、年明け早々ArchDailyとDesignboomがタッグを組んだという衝撃的なニュースから始まった。実際はArchDailyが既にパートナーシップを結んでいたArchitonicと共にDesignboomを買収し、3社の頭文字からなるDAAily Platformsという名の1つの団体をつくったかたちだ。

3社それぞれの強みを活かして顧客のニーズにあったサービス提供をするなど、ビジネス面での強化、内部の改革がメインである。Webサイト自体は引き続き個別に運営され、サイトを見たかぎりでは何ら変化したことはわからない(編集者の話では、掲載の打診はこれまで通りそれぞれのメディアに送ってね!とのこと)。

このDAAily PlatformsはなんとSNSフォロワー数2100万(Instagram 890万、Facebook 550万、Twitter 330万、Pinterest 240万、WeChat 530,000、LinkedIn 約900,000)と桁違い。世界最大級の建築デザインプラットフォームの誕生である。

Image Courtesy of DAAily Platforms

そして、2022年6月に報じられたDezeenの創設者であり編集長のマーカス・フェアーズの急逝(享年54歳)のニュースである。2006年の創刊以来、デザイン系オンラインメディアをけん引し、気取らない人柄の良さで親しまれていたフェアーズ氏。すぐにノーマン・フォスター、トーマス・へザウィック、フィリップ・スタルク等をはじめとする世界各国の著名建築家、デザイナーが追悼コメントを寄せ、Dezeenのサイトはしばらくの間彼を惜しむ多くの人々のコメントや記事で溢れかえっていたのがとても印象的だった。

こういった一連の出来事 ―お互いに長い間ライバル関係にあったメディアがひとつになったり、デザイン系メディアを確立させた人物が逝去したことー を通じて、ひとつの時代の幕が閉じあたらしい時代の幕開けを感じさせてくれた1年であった。これらデザイン系オンラインメディアは、この先どこに向かっていくのだろうか。成長なのか、それとも停滞なのか?きっとここからが彼らの本当の勝負になることは間違いない。

 

Photo courtesy of Dezeen